お客様×会長対談

コンタクトセンターの未来の姿を共創。
地域社会に新しい価値を提供していきましょう
同じ“チャレンジ”の価値観を持つ2つの会社
- 佐藤
- トランスコスモスさんとお付き合いが始まって、もう20年ほどになりますね。
- 松原
- そうですね。 2000年代前半の通話録音システムの導入がきっかけでした。 お問い合わせいただいたやりとりを音声で保存しておくことが必要だったのですが、このシステムは今でも現場で活躍しています。
- 佐藤
- 導入いただいたのはセキュリティ面が非常に強固なイスラエル製の通話録音システムで当社ではこれまでに200社以上のお客様に導入してきました。
- 松原
- はい。 当社は1966年、データエントリーの専門会社としてスタートしました。 その後、お客様のお困り事に積極的に向き合い、「やったことがないこと」にチャレンジしたり、新しい技術をどんどん取り入れたりという精神で業務領域を拡大してきました。 1980から1990年代にかけて、PCの普及に伴いコンタクトセンター事業に参入。 現在ではおかげさまでコンタクトセンター業界ではトップクラスのシェアを頂き、海外事業も展開しています。
- 佐藤
- 当社も同じ頃に、コンタクトセンター関連のビジネスを開始しました。 1983年に地方銀行のお客様へ「オートコールシステム」(延滞債権管理システム)を提供したのが出発点です。 以来、金融機関や自治体を中心に、CTIなどコンタクトセンターを支援するシステムを提供しています。
- 松原
- アイティフォーさんと長年お付き合いして感じるのは、「まずは挑戦してみよう」という社風が当社と似ている点です。 当社も創業時から、お客様の期待に何とかお応えしようとトライ&エラーを重ねて現在に至っています。
- 佐藤
- 確かに、似ているところはありますね。 「こういう対応は、できない?」と相談されると、「お客様のためになるなら」と、つい引き受けてしまいます(笑)。
- 松原
- 以前拝見したアイティフォーさんの50周年記念誌には、どのページにも社員の方々の生き生きとした姿があり、エネルギッシュな社風が感じられました。
- 佐藤
- ありがとうございます。 あの記念誌は、一部の方から反対はあったものの、当社らしい、みんなが読みたくなるものをと奮起して制作したものです。 これも当社のカルチャーと言えますね(笑)。
一人一人に最適な提案ができる
コンタクトセンターは新たな社会インフラに。
社会インフラになったコンタクトセンターの現在地
- 佐藤
- コンタクトセンターは「社会インフラ」と呼ばれるまでになりました。 電話代行という役割からの始まりを考えると、隔世の感があります。
- 松原
-
私が、社会インフラとしての役割を強く実感したのは、コロナ禍でした。 感染が拡大する中、自治体の相談窓口など、生活者の命と健康を守る拠点は絶対に止めるわけにはいきませんでした。 センターの従業員も不安の中で、医療従事者の方にも似た覚悟と責任感で業務にあたっていました。
また、地域における雇用創出もコンタクトセンターの重要な役割です。 育児や介護など生活事情に合わせて、曜日や時間帯を選んで働けるというメリットもあります。 - 佐藤
-
そうですね。 地方では工場の撤退などで働く場が失われる中、コンタクトセンターに期待する声をよく耳にします。 地元での雇用は、税収を通じて地域活性化にもつながります。私が一人の生活者として思うのは、コンタクトセンターは長期的に人に寄り添う存在へと変化しているということです。 例えば保険や健康食品の相談窓口は、ライフステージの変化に合わせて何年も人生に関わっていく。 こうした「ウェルビーイング」への貢献も、社会インフラたるゆえんではないでしょうか。

- 松原
- 重要な視点ですね。 最近は、保険の見直しや、資産形成のアドバイスなど、より専門的な相談も増えています。 生活者一人一人に最適な提案をすることが、コンタクトセンターの新しい役割になるでしょう。
- 佐藤
- 企業や自治体の店舗・出張所の数が減る中、それに代わって住民の生活に“長く寄り添う”のがコンタクトセンターなのではと感じます。
- 松原
- 銀行窓口すら減りつつありますからね。 オンライン化が進んでも、誰もがデジタルだけで完結できるわけではありません。 「使い方が分からない」といった問い合わせの受け皿として、コンタクトセンターは生活に欠かせない存在なのは間違いありません。
温かみのある声で不安を取り除くことこそ、
人が果たすべき重要な役割です。
コンタクトセンターが直面する課題は「人」
- 佐藤
- 社会インフラとして期待が高まる一方、解決しなければならない課題も山積みですね。
- 松原
- はい。 最大の課題は人手不足です。 少子化などで、優秀なオペレーターの確保は年々難しくなっています。 以前であれば、都心だけではなく地域に広げて採用を増やすことでお問い合わせに対応してきましたが、もはやそういった状況ではなくなっています。 働き方の多様性により選択肢がどんどん増えているわけです。 ですから私たちは、いかにして当社で働きたいと思っていただけるかを考えなければなりません。 物価高や人件費高騰に対する配慮は必要ではありますが、一方でお客様である企業からの低コスト運用の要望にも応える必要があります。 サービスを提供する私たちにとっては大きなテーマとなっています。
- 佐藤
- 働き手の確保は日本全体の課題ですね。 当社もエンジニアの確保については同じ課題を抱えていまして、いかに当社に魅力を感じていただくかを継続的に取り組んでいます。
- 松原
- また以前は、コンタクトセンターというと電話で解決されるお客様が多かったのですが、最近はチャットでの問い合わせや、SNSで情報を見て参考にするなど、情報の取得方法は大きく変わってきています。

- 佐藤
- マルチチャネル時代に合わせてユーザー側の選択肢が増えていますから、そこに適合していく。 そうすることで、オペレーターの負担ももしかしたら軽減できるかもしれないですね。
- 松原
- はい。 コンタクトセンターとデジタルは親和性が高いですから、サービスを提供する側も時代のスタイルに合わせて変革していかなければならないと感じています。
- 佐藤
- 人材の確保という意味では、オペレーターが快適に働ける環境づくりが急務ではないでしょうか。 特に近年は、カスタマーハラスメントが社会問題化し、対応が急がれていますね。
- 松原
- 当社では運用と技術の両面からオペレーターを支える対策を行っています。 例えば、通話の内容によっては、お客様と「一線を越えたら電話を切る」といったルールを決めることで、現場の負担の軽減に取り組んでいます。
- 佐藤
-
当社も、FAQの自動表示や音声のテキスト化といった、オペレーターの負担を軽減するソリューションに力を入れています。 クラウド型CTIを利用した、チャットボットなどノンボイスのチャネルの追加もオペレーター保護の観点から有効です。ちなみにトランスコスモスさんは、全国4万人を超えるオペレーターからの声をどうすくい上げているのですか。
- 松原
- 本当にさまざまな施策を実施しています。 定期的なアンケートでコンディションを確認したり、正社員には将来のキャリアプランを聞く面談を実施したり、一人一人の状況を把握するよう努めています。
- 佐藤
- 従業員の声に耳を傾ける仕組みは重要ですね。 当社でも、業務や働き方に関する要望や不満を匿名メッセージで送ってもらう「ココボイス」という仕組みを始めました。 リアルな声に向き合うことが、働きやすい環境づくりの第一歩だと考えています。
- 松原
- 従業員にとって、会社が現場の声を聞いてくれることは、エンゲージメントの強化に不可欠ですね。 アイティフォーさんらしい取り組みだと思います。
人とテクノロジーの調和で良質な顧客体験を
- 佐藤
- 「人」の課題に続き、最新技術をいかに業務に取り入れるかも重要ですね。
- 松原
- アイティフォーさんでも取り組まれていますが、AIがキーワードを拾って関連FAQを即座に表示したり、通話内容を自動で要約したりと、既に多くの技術が現場で活用されています。 膨大な会話記録の分析から、サイトの導線改善につなげることも可能です。
- 佐藤
- 業界の最先端を行くトランスコスモスさんが、生成AIによる自然音声での電話対応をどうお考えなのか、とても興味があります。
- 松原
- 技術的には驚くべき精度に向上していますが、まだ人に完全に取って代わる段階には至っていないと考えています。 誤情報を伝えるリスクが残るため、人の確認は必須です。 また、生活者の感情に寄り添うといったデリケートなコミュニケーションは、依然として人の領域ではないでしょうか。
- 佐藤
- そうですね。 例えばクレジットカードを不正利用されたといった緊急時は、1秒でも早くオペレーターと話して安心したいはずです。 そうした切迫した状況で、温かみのある声で不安を取り除くことこそ、人が果たすべき重要な役割です。
- 松原
- AIと人の役割分担は明確になっていくでしょう。 定型業務はAIに任せ、人はより付加価値の高い、生活者に寄り添ったサポートヘシフトする。 この最適な役割分担は、人手不足の解決にもつながります。
- 佐藤
- IT企業として思うのは、今後は「電話をかけてくる側」が生成AIで詐欺電話を仕掛けてくる、ボイスフィッシングのような脅威にも警戒が必要ということ。 生活者を守るには、システム側の対策と共に、最終的には人の判断が不可欠です。 当社は、人とAIのハイブリッドなセンター構築をお手伝いしていきたいと考えています。
コンタクトセンターを通じて社会全体の未来を
より明るくしていきたい。

「夢」は生活者の“負の体験”をなくすこと
- 佐藤
- トランスコスモスさんはコンタクトセンター業界を代表する事業者、当社はその業界を技術で支援するIT企業という違いがあります。 両社の得意領域を合わせることで、コンタクトセンターの新しい可能性がますます広がっていくのではないかと感じています。
- 松原
- はい。 そこはわれわれからも、ご相談していきたいと思っていました。 というのも、最先端技術は導入するだけでは機能せず、現場の「運用」にいかに落とし込むかが重要です。 現場の要望を受け、使い勝手を磨き上げていく息の長い関係性は、アイティフォーさんのように同じ価値観を持つ会社でなければ築けません。
- 佐藤
- ありがとうございます。 運用で思い出したのですが、1980年代にオートコールシステムの試行段階で、都市部と地方では、電話の呼び出し回数を変えないと留守判定ができないと分かりました。 農作業に従事する人が多い地方では、電話口に出るまで10数回コールする必要。 地域の特性に合わせた地道なチューニングが運用の質につながると学びました。
- 松原
- 地域の生活スタイルに合わせた運用という考えは、現代にも通じる興味深いテーマですね。 もう一つ、アイティフォーさんに期待しているのが地域活性化での協業です。 当社は各拠点で地域振興に取り組んでいますが、全国の地域金融機関様と強いネットワークを持つアイティフォーさんと協力すれば、より大きなインパクトを生み出せるはずです。
- 佐藤
- 同感です。 実際に沖縄では偶然にも当社のお客様のセンターとトランスコスモスさんのセンターが同じビルに入居しています。 単なるITツール提供の関係を超え、両社で地元企業・自治体・住民の皆様へ働きかけて地域振興の波を起こせればうれしいですね。
- 松原
- これは私個人の夢ですが、コンタクトセンターを通じて、世の中の“負の体験”をゼロにできないかと考えています。 「使い方が分かりにくい」「どこに質問すれば良いか分からない」といった人々の小さなストレスを一つ一つ解消していく。 その積み重ねが、社会全体をより明るくすると信じています。
- 佐藤
- 素晴らしい夢ですね。 当社の経営理念にも「寄り添うチカラ」という言葉があります。 私もそんな社会を実現できるよう、業界を支え、困っている人を助けられる存在になりたいです。
- 松原
- アジア諸国で事業展開する中で、現地の勢いには目を見張ります。 今の日本は元気がないと言われますが、コンタクトセンターが社会を明るくする一助を担いたいと強く願っています。
- 佐藤
-
最近は、デジタル化が加速することで、対面の比率が下がり非対面化がますます進んでいます。 その一方で、人々は些細なことでつまずく場面が増えています。 そんなとき、金融や行政サービスなどを抵抗なく使えるよう、「生きていくための支援」を提供することが重要です。 究極的には、“あそこに連絡すれば何でも解決してくれる受け皿”のような、垣根を越えた総合的な生活支援プラットフォームを、トランスコスモスさんと共に目指していければ大変うれしいです。本日は本当にありがとうございました。

Profire

トランスコスモス株式会社
取締役 副社長執行役員
CX事業統括責任者
松原 健志

株式会社アイティフォー
代表取締役会長
佐藤 恒徳